節税対策の罠-3
2015/06/12
毎年赤字なのに節税用保険に入っている。
なんてこともあるのですよ。本当に。
そっか 「保険って損得ではなく、愛情なんだ」 と しみじみ感じます。
「愛で家賃も払えたらいいのに」と心から思います。
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節税対策の罠-3
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■先送りという名の節税
節税策を本当に税金が減るものとお考えの方が意外に多く、実は税金の先送りにしか過ぎないという事実を前回ご案内しました。
でも来年も儲かるかわからない環境では、そうやって「たまたま儲かりすぎた」ときの節税対策をしっておくのも“いいね”ということを書きました。
さて、先送りという名の節税策には2パターンがあります。
(1)将来、お金が戻って来ない
(2)将来、お金が戻って来る
- は前回説明したので今回は(2)のお金が戻って来る節税について。
これは生命保険を使った節税が典型です。多額の保険料を経費に落とす事により税金が劇的に下がるため、経営者を魅了し続けます。
しかし、(1)と異なり、生命保険の解約時にはお金が戻って来ます。前払いが1年分であるのに対し、複数年かかる先送りですね。
さて、この経営者を魅了し続ける節税策は果たしどこまで有効なのでしょうか?
まずは、生命保険を利用した節税策のメリット・デメリットを簡単にまとめます。
【メリット】
A.税金の支払いを先送り出来る
B.退職金対策等に用いる場合、一時的に発生する費用を相殺する機能がある
【デメリット】
C.長期間に渡り支出が先行し、手元資金が減少する
D.保険会社に支払うコストが高く、節税だけを考えた場合は損をする
上記のうち、AとCは今までのご説明でご理解いただけると考えます。そして、この中で一番重要なのはDについての理解です。
生命保険による節税策の最大のポイントは解約返戻率です。節税で用いる保険契約は途中解約が前提となるため、解約した時にどのくらいの保険料が戻って来るかが全てと言っても過言ではありません。
例えば、毎年100万円の保険料を30年支払い、解約時に2,700万円戻ってきた場合、保険会社に支払うコストは300万円(解約返戻率90%)。
要は、最終的な税金が変わらないにもかかわらず、先送りをするために300万円というコストが必要になります。
もちろん、このコストは保険という保障を買っているために発生するものですが。
そもそも保険を契約した動機が税金対策であるため、保障としてのコストは割に合わないのです。
しかも、長期間に渡り支払いを続けない限り解約返戻率は低いまま。同時に、長期間に渡り黒字を続ける事が出来る中小企業はごくわずかという絶対的な事実が存在します。
結局、どこまで節税の効果(先送りの効果)があるのか?は、誰にも分からないのです。
最後はBの機能についてです。現在の経営環境を考えると、より重要性が高いのはこの機能かもしれません。
例えば、毎年300万円の利益が出ている企業が、役員退職金3,000万円の支払いを検討しているとします。ここで問題になるのが業績に与える影響。
単純に考えれば、退職金の支払い年度は2,700万円の赤字。
当然、経営者であれば銀行の評価が頭をよぎります。役員退職金という特別な費用という事は銀行も十分理解しますが、1年間で2,700万円の純資産の減少は財務評価に大きな影響を与えます。
そこで、この節税策の解約時の処理が役立ちます。解約による保険料の戻り分があれば、その全部または一部の金額が収益となり、役員退職金による費用計上額が相殺され、業績に与える影響を最小限度に抑える事が出来るのです。
この節税策を銀行対策と位置付け、保険会社に支払うコストも許容出来るとおっしゃる企業も少なくありません。
とはいえ、そもそも節税策にこだわらない企業は、退職給与引当金という会計上の処理を使って、退職金の為の将来の費用を毎年計上しています。このような処理を使えば、無理に生命保険を用いる必要もありませんが。
以上が、生命保険を使った節税策のメリットとデメリットです。要点は、目先の税金の支払いを回避したいか否かです。
節税策を用いればキャッシュフローが悪化しますし、高いコストも支払わなければなりません。
でも、緊急用資金を外部留保しておいた方が安心という企業や、解約時に上がる収益を赤字のときのための補填に使うコストと割り切っている企業もあります。
生命保険を使った節税はコストが高いので私自身はあまりオススメしていません。
もちろん有効性は上記のとおりあります。
が、本来のメリットを理解しないまま “得した” と感覚的に思っている方も多いのです。
毎年赤字なのに節税用保険に入っている。 なんてこともあるのですよ。本当に。
そんな会社に なんで保険辞めないの? と訪ねても ダメなんですよ。
「いや節税効果はなくても保障も大事だから」 とか
「もう少し頑張ると返戻率が上がるから」 とか
返戻率は確かに続けていれば変わりますから。では、無理してでも続けたほうがお得になるか電卓をたたいてみるんですが、まぁ続けても得なわけないんですよね。
考えてみれば当たり前のことですが、返戻率は100%にはならないのだから常に掛け捨て部分はあるんですね。だから続けるほど損は出るんです。
でもそんなこと言うと なんか怒り出しちゃうですね。
そりゃそうですよね。 感覚で入っているんですから。 いやいや失礼しました。
先送り節税対策の最強商品を最後にご紹介します。
- 小規模企業共済
- 経営セーフティ共済
この2つは返戻率100%です。 節税効果は支払額の100%です。
民間保険会社の返戻率はよくて90%です。 節税効果は支払額の50%です。
どちらも、どこの金融機関でも取り扱っています。
本当に優れたものは宣伝されないものですね。
当たり前ですが、お得なことを積み上げたほうがお金は残ります。
余談ですが、「保険は愛情」という広告を見て、金融商品に愛情を感じさせるマーケティングの凄さ感じました。保険会社ってすごいです。
マーケティングと言えば、健康食品のCMも面白いですね。
それと、次回は “節税の罠” 最終話
- 利益と資産の移転による節税 です。
今日の記事はあなたのキャッシュの最大化に役立ちそうですか?
今回の執筆は、ウィズ・ワン会計事務所 永井でした。
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